空と海が見える部屋

地球にいながら宇宙旅行

メタルマクベスが楽しかった話

 西暦2018年を生きる人間の脳内にマイクロチップは埋め込まれていないはずなのに、メタルマクベスの楽曲が頭から離れない今日この頃ですこんにちは。はじめまして、ゆっかと申します。

 私が言いたいのはただひとつ、「メタルマクベス最高!!!」ただそれだけ。初演は見ていないし、観るきっかけは宇宙Six原嘉孝くんが出演することだったのでdisc1も予習程度に二回観劇しただけなのですが、disc2の幕が上がっておよそ一ヶ月半、欲望のままに毎週末豊洲でぐるぐるしてしまうほどメタルマクベスの虜です。これ書いている間に千秋楽終わっちゃって失意のどん底ですが、disc2が終わってもdisc3があるし、そっちも何回か観劇します。
 ということで、「メタルマクベスの話をする為だけにペンを執ろう!」(ペンじゃない)(観劇した方にはわかるパロディ台詞)をテーマになんかうだうだ話します。ステマダイマだってそんな大層なことはできないので、以下めちゃめちゃ長い独り言です!でもみんな観に行ってくれたら嬉しいな!!

●初見のインパクトが尋常じゃない
 先述の通り、私の初メタマクはdisc1です。座席が動くことだけは頭に入れていましたが、「うわー!本当に回ってるぅぅぅ!!」と幼稚園児もびっくりの頭弱い感じの感想を胸にアトラクション感覚でお行儀よく観劇しました(笑)よく乗り物酔いの心配をされている方もいらっしゃいますが、私は酔うことなく終わりました。(この時の座席は31列だったのでだいぶ後方。遠心力はかかってたはず)どちらかというと動きよりも映像による浮遊感で酔う感じでしょうか。でもそういう時はまぶたを閉じればオッケーです。
 インパクトの話に戻りますが、ランダムスター・ランダムスター夫人が権力欲しさをきっかけに主君レスポール王を手にかけ、王冠を手にするものの疑心から不信感を募らせてどんどんと精神を病んでいく物語。そこには魔女の予言と1980年代のバンド「メタルマクベス」のメンバーの生き様とアルバムの収録楽曲が絡んできて……という突飛な設定がとにかくすごい。戦乱の世を生きたこともメタルバンドのおっかけをしたことも無いのになぜか心がすっと受け入れ体制に入る。なんでだ。シェイクスピアクドカンもすげぇ。そして戦乱の世と1980年代がリンクしているので役者さんも最低でも一人二役をこなされるわけですが、このギャップがたまらない。あんなに頼もしいグレコがなんでファンに手を出しちゃうマクダフとして成立するの!?あんなに高貴さに満ちあふれたパール王がなぜ過去の世界ではつかみ所がなさすぎるナンプラーなの!?でも不思議なことに一人の役者さんを通してこの二人が共存してしまう。特に1980年代のキャラクタービジュアルは見た目からしてとてつもなく強烈なので脳内がパニックになります。でも癖になるんだこれが……!
 とはいえ、インパクト・オブ・インパクトすぎて初見では何がなんだかって感じで(せめて名前くらいは把握すべきだったという個人的な反省です。皆様ご観劇の際はホームページなどでどの役者さんが誰と誰を演じているか確認しておくと良いかと思います)最終的な感想が「ランディ夫妻にとって・この国にとって一番幸せになれる終わりってこの世に存在するのだろうか」と「松下優也氏がひたすらイケメンな時間が三回くらいある」に集約されました。そして次の瞬間、「これは増やさなければ」と本能が叫び始めた次第であります。金が無い?そんなの働けばどうにでもなる!ってこの時初めて心の底から思いました。
 ちなみに、シェイクスピアの「マクベス」自体はこの時点で予備知識が全く無くて観劇後に某ペディアで調べました。あのオチ(語弊)原典通りなのかよ、って学のない感想を持ちました……大きく味付けはされているけれど、味付け後のテイストかなり好きです。好みの問題かもしれないので万人に勧める感じではないのですが私と好みが似通った方は好きだと思います。近いうちにちくま文庫版も読みたいと思います。

●そして迎えたdisc2
 disc1の観劇で作品に対する期待値と信用度が最高潮だったので、初日のチケットを毎日のように眺めながら幕が上がるのを待ち遠しく思っていました。原くんのパフォーマンスは全てを追いかけていたわけではないけれど全面的に信頼を置いているため、心配することは何もありませんでした。(このへんが担当さんとそうでない人の違いかもしれませんね)そしてその信頼の通り、毎週ステアラでぐるぐるしてしまいました。
 disc2の特徴としてよく挙げられるのが「若さと勢い」ですが、本当にその通りで若さゆえの愚かさがすごくよく顕れていると思います。「若気の至り」なんて言葉もありますが、まさしくその至りが取り返しのつかないところまで発展してしまう。若い人は一般的にガンの進行が早いのと同じ原理で(?)悪に染まってから墜ちるところまで墜ちていく時間がきっとものすごく早かったのではないかな、と思わされます。一幕とニ幕のあいだにどれくらいの時が流れていたのかは明言されていないですけど、disc2のほうがdisc1よりも早そう。鋼鉄城が味気ない鉄の塊だったことに気がついて目が覚めるまできっとあっという間で短い栄華だったのではないかなと思います。だからこそ、夫人の胸に宿る空しさが大きい。王の妻になって華やかな毎日を送るはずだったのに、ランディはもう自分を見てくれない。民衆のランディに対する視線も冷たくて見ていられない。おごれる者も久しからず、ただ春の夜の夢の如しなわけです。
 disc2に流れる時間の早さが、観客により疾走感を与えてくれているのかなと思います。きっとランディがローラに手を下すという決断に至るのもあまり悩まなかっただろうし、グレコもそこそこ早い段階で王子を迎えに行く。王子だって時が来たそのとき、もう即決で城に攻め込んだに違いない。何もかもが勢い。考えている暇なんて無い。観客の私たちも、上演時間の四時間を秒で終える。この世で最も有意義な13500円の使い方!
 歌舞伎役者としてご活躍の尾上松也さん、大人気歌手の大原櫻子さんによるランダムスター夫妻。それぞれ普段のフィールドが違うだけにどんな夫婦になるのだろう?と最初は思っていましたが、これもdisc2を観劇された方によっていろんな解釈が飛び交って面白かったです。この二人に愛はあるのか?問題。私はお互いがお互いへの愛でいっぱいだったと解釈しました。王の妻になることに執着を見せた櫻子夫人、きっと松也ランディより設定上も結構年下だと思うんです。それこそ、正統な王位継承者であるレスポールJr.と結婚してもおかしくないくらい。(櫻子さんは原くんと同学年です)でも、ずっとランディと一緒にいた。ランディは自分をお姫様のように可愛がってくれて、美しい女王様にしてくれる運命の人。彼女の目的はランディを王にすることではなくて自分自身が王の妻になることだったかもしれないけれど、それと同時に誰かからものすごく愛されたかったのではないかなと思います。自分を誰よりも愛してくれる、それがランディだった。王子は生まれたときから王子だったためか、誰か一人を愛する人ではなくて博愛主義的な面が強かったように見えました。誰にでも優しい男じゃ夫人は満足できないだろうなぁって。だって女の欲望には際限がありませんからね……。松也ランディから櫻子夫人への愛は説明するまでもないですよね。「私の失意」なんてもうめちゃめちゃ泣けたもん。あ、「私の失意」なんですけど一度だけとんでもない下手の席に入った時前の人の頭でランディの姿が全く見えなくてギターを抱きながら歌うランディの影だけを見ていたことがあるんです。影だけでランディの空しさが伝わってきてそれはそれは感動しました。影で感情は伝わる。話を戻して、二人の愛なんですけども。終盤「君の病気が治ったら……ローズ、結婚しよう?」「いやぁよ」「どうして」「あなた病気だもの。看病はいや。未亡人になるのはもっといや……」のシーン。公演も後半にさしかかった頃、「結婚しよう?」の言い方が小さな子供に問いかけるそれになっていてずっとランディにとって大きすぎるくらいに大きかった夫人がちょっとだけ、ランディと同じ大きさになった気がしました。それでもまだまだ大きいんですけどね。でも、自分が思っているより驚くほど小さかった夫人の自己評価に対しての答えでもあるんじゃないかな?なんて思います。看病も未亡人になるのもいやな夫人。私は最初、「かつて王の妻だった女」になるのが嫌だったんだろうなって思っていたのですが、「レスポールには妻がいた、どんな気持ちかしら?夫を亡くすなんて」と泣き叫んだのち力なく呟く姿を数回の観劇で見ているうちに「夫人が、レスポール夫人の気持ちを考え頭をパンクさせている」ことにぐっときて。夫を亡くしたら、寒くて辛い地獄から助けてくれる人がいなくなるんだって夫人はわかっているんだろうなと思うと夫人には他の誰でもないランディが必要で、ランディじゃなきゃだめだったのだろうと思います。
 決してdisc1と比較するわけではないですが(比較するほど1をきちんと観れていないし考察もできていないので)1と2で描かれている夫婦像が違うだけにこの見方ができたのもdisc2ならではだったと思っています!他にも語りたいことはあるんだけど今回は省略!書きたくなったら書きます!

原嘉孝という正統な王位継承者
 私がメタルマクベスを観に行くきっかけとなった男、原嘉孝。私の特別長くは無いけど短すぎるほどでもないJr.担人生の中で、彼の姿を見る機会はそれこそ何度もありました。(だって彼どこにでも出てる)がっしりとしているのに時折華奢にも見えるその体型と踊り方、雑誌でうかがえる値が真面目な性格が大好きで原くんを見るために現場に行くこともありましたので、今回もその延長でチケットを取り豊洲まで足を伸ばした次第であります。
 でかいステージのど真ん中で歌い、踊り、戦い、お芝居をする。いっぱしのジャニーズJr.が立つ舞台としてこれ以上の場所があるのか?と考えたときに、脳内で「いや、ない」と反語を用いてしまいました。無いことはないかもしれませんけど、滅多にあることじゃない。しかもいわゆる外部舞台ですよ!ジャニーズ事務所からは原くんと健一さんだけ!客層もいつもとは全然違う!誰もがうらやましがる夢の舞台なんじゃないかな?ってくらいのステージで、ここで華麗に舞う担当の姿を見ることができる原担は今のJr.担の中で誰よりも幸せなんじゃないか?と外野ながらに思いました(笑)直接聞いたわけではないですが、原担さんそのへんいかがでしょうか?
 原くんの素晴らしさ・格好良さ・愛らしさは他の方が各々語ってくださっていると思うので、私からは劇中の様子から見えた彼の印象を書いてみようかなと思います。
 人間は「上品さ」と「野心あふれる泥臭さ」をひとつの身体の中に共存させることが可能である。しかしそれを成し遂げることができる人はそう多くない。……とまぁ、こんな感じでしょうか。原くんは本当に王子様でした。パンフレットで自らを王子様キャラじゃないと語っていらっしゃいましたが、あれを王子様と呼ばずに誰を王子様と呼ぶのでしょうか。指先の所作から雄大な歩き方、視線の動かし方の綺麗さまで、どこを切り取っても彼は「王位継承者」そのものでした。王子様って言うとお姫様となる女性を白馬で迎えに行き甘い言葉と共に手を差しのべて二人だけの迷宮に誘うような、そんなイメージがあると思いますが(少なくとも王子様「キャラ」はそんな感じだと思う。一人のプリンセスと結ばれてめでたしめでたし的な感覚)この世界の王子はあくまで「王の息子」であり民衆を然るべき方角へ導き、先頭に立って愛と平和のあふれる世界を作り出していく先導者なんだよなと思います。レスポール王も家臣がいつか自分を暗殺するかもしれない可能性を頭の片隅に抱えながらそれを決して口にすることなく生きていました。兵器の類を嫌い、人の痛みを知ることで不用意な争いが起こらないようにしていたことも劇中の様々な台詞から伺えます。王の葬列の時の家臣の悲しみからもそれが伺えます。王子もその王と優しい教育係グレコに育てられ多くの信頼を得ていたのでしょう。最後のシーンで徳ちゃんのお母さんが「じゃあ、Jr.様も……」と言うところ。お母さんは王子までもが城に攻め込んでいることを知るはずがないので普通だったら安否なんて気にかけないと思うんですよ。そこにいないから。でも真っ先に王子の生死を気にするところはやっぱり王子を正統な王位継承者として信頼していたんだなと。原くんはその王位継承者としての説得力にあふれていました。ただのお人好しではなくて、言いたいことはきちんと言うし行動で示す。人の心に寄り添うことも忘れない。いつも少しだけ前のめりで、その瞳に強い光を宿しているところが彼の野心の顕れだったように感じます。彼に着いていきたい・彼のおさめる国で生きていきたい。そう思える王子様でした。
 野心って見せれば見せるほど上品さから離れていくと思うんです。ふたつの言葉は対義語の関係にあるわけでは無いけれど、崇高な人は野心を表に出さない。やりたいことを成し遂げるための貪欲さは誰だって持っているけれど、王子のような位の高い人はその目的に躍起になることなくまるで最初から持っていたかのように見せることすらも王子としての民衆に向けたパフォーマンスのひとつだと私は思っているのでそこをかなぐり捨ててでも自分の意志を言うことで周囲の人の気持ちを奮い立たせていく王子の姿勢にとても心を打たれました。

●そしてdisc3へ
 あっという間に終わってしまったdisc2ですが、その余韻も覚めないうちにdisc3の初日が近付いてきましたね。ライブビューイングの日程も発表されて、当日の仕事との兼ね合いで申し込むかどうかをめちゃめちゃ悩んでいる最中です。劇場には行きます。ポスターを見ても圧倒的”美”って感じのdisc3、目がその輝きに負けないように注意して臨まなければと思っております。
 disc1とdisc2のランディ夫妻が全然違っていたように、disc3の浦井・長澤夫妻もまた違う夫婦像が、愛の物語が描かれることと思います。そして個人的にはやっぱり真宙Jr.が気になります。高杉くんのことはドラマ「高校入試」(なんと主演が長澤まさみ様)と「仮面ライダー鎧武」で拝見していたくらいなのですが、どちらもいいこちゃんな優等生に見えて影が強い役だったので王子のような役がどのようにハマるのか楽しみです。松下Jr.が短剣にキスを落とし、原Jr.が短剣に祈りを捧げたあの二人とも解釈大正解な名シーンが高杉Jr.ではどのようになるのか?答えが出たら同志のみなさんと語り合いたいくらいに早く観たい!!
 今回の観劇を通して「メタルマクベス」という作品の大ファンになったので、愛したdisc2が終わってもその登場人物たちの魂が役者という器を替えてステージ上に生き続けることが嬉しいです。disc2ロスだけど、disc3が終わったら本当にロスになるんだろうなぁ。全部終わったらメタルマクベス感謝祭とかやらないかなぁ。レスポールJr.ナイトとかやらないかなぁ。そんなことばかり考えています。


 さて、長々と書き連ねましたが役者さんたちがブログやSNSで前に進んでいる様子を見るとずっとうだうだしているわけにもいかないな!という気持ちになります。メタルマクベスがいち観客である私にくれた感情を大切に、この舞台のことをたまに思い返しながら私もさらなるヲタク道を進んでいこうと思います。
 9月15日の初日に観劇してからずっと決めていたこと。disc2の千秋楽の日に私は原担になろう。毎週毎週劇場に通い、彼の姿を見る度にその思いは強くなっていきました。10月25日、disc2の千秋楽を無事に迎えられたこと、本当に嬉しく思います。おめでとうございます。原嘉孝演じるレスポールJr.という正統な王位継承者が伝説になる始まりの一日、出勤する電車の中で見た外の景色は澄み渡る青空で、なんだかその青が王子が身に纏う青と同じ色に見えて少しだけ泣きました。私も晴れて(?)原担になりましたので、彼らのさらなる活躍を祈って乾杯!!と劇中の台詞を引用しこの記事を締めようと思います。閲覧ありがとうございました。